第61回_風俗雑誌とマンガ家_その5

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マンガ家は机に向かってGペンでカリカリと描き込むイメージがあるが、現代のマンガ家は様変わりしており、パソコンを使用するマンガ家が急増している。ペンタブと呼ばれるデバイスで描き上げるためインクなどは一切使用しない。そして、こういった描き方であれば修正も手軽というメリットもあるが、それ以外にもさまざまなメリットもあるのだ。

 

これまでのペンによる原稿は生原稿と呼ばれており、一枚限りの原稿であることから管理に気を遣う必要がある。出版の世界に入りたての頃は、上司から「生原稿は命よりも大切に扱え」と言われたものだ。さらに、編集部には宅配便やバイク便で送らなければならないが、データであればメールで送ることが出来る。

 

データ原稿は多くのメリットがあるが、生原稿を実際に目にした時のインパクトには勝てないだろう。確かに見事なイラストを描くアマチュアも存在するが、やはりプロの生原稿を見てしまうと比較にならないのだ。画力はもちろんのことだが、こちらは発注している側であることから描き上げるまでの期間も知っている。そのため、そのスピーディーな仕事振りにも驚かされるのだ。

 

ネット上でプロとアマチュアの作品を比較して、プロの作品を腐すようなコメントを寄せるケースは少なくない。しかし、あれだけタイトなスケジュールで描き上げることはプロにしか出来ない。中でも週刊連載で生原稿を仕上げるマンガ家のスピードは恐るべきもの。読者の想像以上にプロのマンガ家のスキルは高いのだ。

 

タックル松田さんはもちろん生原稿のマンガ家。メリットを求めてベテランや大御所と言われるマンガ家の中でも、生原稿からデータ原稿に切り替えるケースは少なくない。しかし、年齢を重ねることで新しい技術をみにつけることは難しいようで、データ原稿のマンガ家は20代~30代が圧倒的に多い。タックル松田さんは電話口の声しか知らないが、きっと50代以上の年配のマンガ家だろう。

 

タックル松田さんのファンになった僕は、次号の風俗マンガもタックル松田さんにすることに決めた。次号は吉原のソープランドの体験マンガだ。前回の埼玉デリヘルで大きな問題が無かったことから、安心して依頼が出来る。

 

僕は急いでマンガのプロットを書き上げた。主人公は川崎に住むソープランドファンで、いつも川崎のソープランドで遊んでいる。しかし、風俗雑誌で割引情報を見つけたことから初めて吉原で遊ぶことにしたのだ。そこで予想以上にハイレベルな女性とプレイ出来たことで、吉原にどっぷりとハマってしまうという流れ。

 

資料やプロットをまとめると、僕はタックル松田さんに電話をかけた。

 

続く