【第2回】池袋ロサ会館裏の立ちんぼ

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日本にはさまざまなジャンルの風俗がある。

本サイトに掲載されているだけでもスタンダードなヘルスに始まり、ソープランド、メンズエステ、M性感、オナクラなどがあり、あらゆる男性のニーズに応えている。

ヘビーユーザーであればひと通りのジャンル経験していることだろう。風俗しかりAVしかり、これほど多彩なエロジャンルを揃えた国は、世界でも日本くらいではないだろうか。

しかし、日本にはこれらに分類されないものもある。

立ちんぼに代表されるいわゆる裏風俗と呼ばれるものだ。

夜の繁華街を歩けば多くのアジア系の立ちんぼが声を掛けて来る。

「オニーサン、アソビマショ」

この誘い文句を耳にしたことのある男性は多いことだろう。

これは6、7年前のこと。当時の僕は高田馬場にある編集部に勤務をしていた。

月に1日休みがあれば上等のようなハードスケジュールで、家に帰れないこともしばしば。

これだけ厳しい環境だったが、エロと裏社会にドップリと浸かった雑誌の世界は刺激的で、そんな環境に身を置いている自分が嫌いじゃなかったのだ。

当時の僕は家に帰れなくなると高田馬場からタクシーを飛ばし、池袋のカプセルホテルを利用するのが定番となっていた。

深夜2時頃池袋のロサ会館裏に向かい、適当に食事を済ませて定宿のカプセルホテルへ、という流れ。

風俗ファンであればお分かりだろうが、このエリアは風俗やキャバクラの密集地帯。

もちろん立ちんぼも少なくない。

「オニーサン、アソビマショ」

アジア系の立ちんぼが必ず近づいて来る。

風俗ビギナーはこれに尻込みしてしまうものだが、僕は仕事柄こういったエリアは歩き慣れている。

立ちんぼをかわすことなど楽勝だ。

それは暑い夏の日だった。

複数の締め切りが重なったせいで、月に数回のカプセル生活が5連チャンにもなっていた。

深夜の池袋で立ちんぼに声を掛けられるのは慣れっこになり、遂にはお互いの顔を覚えてしまう。

僕を見るなり「こいつに声を掛けてもムダ」という表情を浮かべて、すぐさまどこかへ行ってしまうのだ。

こうなると実に快適。海を割ったモーゼのように風俗街を闊歩できる。

しかし、ひとりの立ちんぼだけは違った。

ガン無視を決め込む僕に笑顔で声を掛けてくるのだ。

「オニーサン、アソビマショ」

年は30歳前後だろうか。良く言えば歌手の絢香に少し似ている。

いつも少々くたびれたTシャツとタイトなジーンズを履いていた。

彼女には申し訳ないが、重たい黒髪のせいでどこか野暮ったく見えてしまう。

しかし、これほど熱心に声を掛けられるとどうしても気になってしまうもの。

仕事の目処が立ったカプセル生活最終日、深夜の池袋を歩いているといつものように彼女がやって来た。

ガン無視することは簡単だったが、僕は機嫌が良かったこともあって彼女に声を掛けることにしたのだ。

「オニーサン、アソビマショ」

彼女はいつもダメモトだったのだろう。

しかし、この日に限って足を止めた僕に少々驚いているようだった。

続く